TRUE ORGANIC COTTON

≪真実の有機栽培綿花≫

直訳するとこうなります。


日本語だと中学生とか好きそうな雰囲気になりますね。


トゥルーオーガニックコットンと聞いて、


何を想像しますか?


逆にフォールスオーガニックコットンってあるの?とか


英語で言われたって綿は綿でしょ。とか


なぁ〜に言ってんだかぁ、時代はレザーだろぉ?とか


様々あると思います。


「TRUE」を真実と直訳しましたが、


この場合の意味合いでは、正真正銘 が適正な表現かもしれません。


これこそがオーガニックコットンであると、


TRUEである理由と共に、

オーガニックコットンというものをお伝えできればと思います。


この素材の魅力を知っている人も


知らない人も、これから知るつもりだった人も


ぜひこのブログは読んで頂きたい。






Ripo trenta anni 有明店です。



メンズの2代目に続いて、

レディースにもトゥルーオーガニックの商品が誕生しました。

ありがとうございます。

ワークをルーツに持って生まれたデザインをリポ解釈しております。

その辺のことは後半でサラッと紹介したいのですが、まずは生地です。

どちらにも同じ生地が使われており、

この生地がTRUE ORGANIC COTTONであるのです。

そもそもオーガニックコットンとは?

最近オーガニックコットンという言葉は世間にずいぶん浸透してきたなと感じます。

ただやはり、周知の拡散と誤認は比例して増えてしまいます。

誤認とまでいかずとも、名前程度の認知で

オーガニックコットンについて正しく理解している方は少ないのかと。


定義としましては、オーガニックコットン協会から文章を拝借いたしますと、

「オーガニックコットンは、オーガニック農産物等の生産方法についての基準に従って2 ~ 3 年以上のオーガニック農産物等の生産の実践を経て、認証機関に認められた農地で、栽培に使われる農薬・肥料の厳格な基準を守って育てられた綿花のことです。」


これは有名ですよね。世界基準で、各国オーガニック農場はこの規定の元、生産しています。

要するに、3年以上環境に優しい農薬や肥料以外を使わないで作られたコットン。

更に、毎年各農場へ専門の検査員が赴き、基準をクリアしているかチェックしているそうです。

なので、一度オーガニックコットンの栽培が認められても、その成果を継続する必要があるのです。

天候や気候に左右されやすい有機栽培を継続する難しさは、メディアでもよく取り上げられます。


ただ、手間のかかる栽培を行ったとて、

収穫後のオーガニックコットンと普通のコットンに大きな差はありません。

収穫した後に検査などで判別する事は不可能。

農薬が綿花を汚染している。などという考え、いわゆる残留農薬は

普通のコットンでもとても少ないらしいのです。


これについては意外だったのではないでしょうか。

「オーガニックコットンは農薬を使ってないから肌に優しい。」

みたいな話はぶっちゃけ間違っています。

「オーガニックコットンは、

栽培するときの農薬散布で起こる健康被害・土壌汚染が無い。」

が正しく理解できている方の見地です。

そもそも綿という素材が比較的肌に優しい程度です。



ではなぜオーガニックコットンは今人気なのか。

詳しい数字などは、協会ページで確認して頂きたいのですが

オーガニックコットン協会〜定義編〜

簡単に言うと、

有農薬でのコットンの栽培は環境へのダメージもとても大きい。

これこそがオーガニックが選ばれる理由になります。



服にするための工程として、

綿毛から、繊維にし、染めたり生地にしたり、製品化への道筋を辿るわけですが、

綿ほどの安価な素材で大量の製品にするには、

薬品や機械などを存分に使用して、効率第一に作る事が一般的で、

今も多くの企業はそのような製法を行っています。

環境負荷を無視して、大量に生産し、販売しきれなかったら、大量の服を廃棄する。

そのように作り続ける事で、ファッション業界や繊維産業が如何に

旧時代的か問われています。

その中で、染色による水質汚染問題は国際的に取り上げられています。

世界の水質汚染の原因となる排水のおよそ20%もが染色産業によるものであると。



そういった事を踏まえてお話ししますと

その収穫以後に行われる工程に関しまして、

オーガニックコットンテキスタイルに明確な定義が定められていないのが現状です。


GOTS

と呼ばれる国際的な認証の一つで、

「オーガニックテキスタイル国際基準」

というものがあるのですが。

これは、農産業とは違いまだ世界基準と認められつつある状態。

であり、明確に定義付けできないでいます。



その結果、紡績から生地・製品までの基準はとても曖昧で、

このGOTSによると、

・オーガニックコットンの含有量を明記すべき。

・化学薬品を使用する場合にも機関による認証を受ける必要がある。

・また使用を禁止している化学薬品もある。

などなどありますが、

この中でも

含有量は初めて聞いた時愕きました。


GOTSでは、オーガニックコットン95%以上でオーガニック製品と表記できる。

また、70%以上オーガニックコットンを使っており、

オーガニックコットンの含有率も明記する事で、オーガニック製品と表記できる。

とあるのですが。


GOTSとは別の国際的な認識の一つには

生地のコットンの中に

5%以上オーガニックコットンが使用されており、

普通のコットンがほとんどでも

「この製品はオーガニックコットンを使用しております」

と謳えてしまうのです、嘘では無いので。


低価格での流通は意外とこの程度で、

GOTSの認証に満たない含有率だったりします。

そうでもなければ、オーガニックコットンの生産量と値段が釣り合わないです。

一部団体では、少しでもオーガニックコットンを使うべきだ。と

推奨されるまでもある現状。



これをオーガニックコットン協会も日本の流通品でどうにか出来ないかと

試行錯誤しているのですが、タグへの品質表示などの法から変える必要があり、

難しい問題だそうです。



「TRUE」の底力

オーガニックコットンの現状を知っていただいた上で、

私はこの生地を大いにおすすめ致します。




この生地は《One Any》様の

『One Any®︎ TRUE ORGANIC COTTON』

を使用しています。

もちろんですが、本当にオーガニックコットン100%使用。

更にその製法までも完璧にオーガニックで行われています。


安心と信頼の大正紡績様のブレンド糸で、糸〜生地への過程で必要な糊付けも、

主流のPVAと呼ばれる合成糊でなく、昔ながらのデンプン糊を使用。

織り機も昔ながら。セルヴィッチデニムを織る際に使われる旧式力織機は

人の手で細かい調整が必要な機械式の織機として

約300年前から存在し、稼働は省エネルギー。

現在主流のシャトルレスよりもかなり時間をかけて生地を織ります。

コンピューター制御とは違い、立体感のある高密度な生地に。

風合いの良さは近代織機では中々出せないものとなっており、

味のあるネップもこの織り方でこそ出せるものです。

こうして、環境負荷の少ない製法と、人に優しい素材のみで作った

正真正銘のオーガニック生地となります。



織り上がった生地は生機と呼ばれ、天然繊維は生成りとも。

この生成りは今でこそ色としての認知が広いですが、元々は無染色生地のことです。

空色、スカイブルーのようなものだと思ってください。

それ以外では形容し難い色味はその物が色の名前になり、

語彙力の限界を表すわけです。

で、この生地は

ベージュのような色味でありますが、

前述した定義で言いますと、生成りです。

染める事なくこの色なんです。


オーガニックとカラードコットン

今日は読み応えがありますね。

やっと終盤です。

ここからが特に興味深い内容になります。



コットンは今でこそ、白い綿毛の木綿と呼ばれるものが大多数です。

紀元前から綿は栽培されていました。

文献により様々な説があるのですが、およそ紀元前2000年前くらいでしょうか。

その頃から綿毛を糸にして布にしていたらしいのですが、その綿の色は茶色でした。

その後、布を染める。糸を染める。そういった加工を施すに際し、

白い綿の方が都合が良かった人類は、

品種改良を重ねて、白い綿ばかりを栽培。

茶色い綿はほぼ絶滅してしまいます。

現在の綿でさえ、染める前に漂白処理したりするので、

当時の茶綿は本当に扱いづらかったのだと思います。

また、染色による水質汚染は前述したとおり、

石油産業に次いで、海や川を汚してしまっています。

白綿をオーガニックで作ったからとて、

問題は多く、環境へに意識が高まった時代を迎えます。



転機は1985年、アメリカ。

昆虫博士で有機栽培の重要性を提唱していたサリー・フォックス女史。

彼女は白綿に混ざり発生した茶色い綿に一目惚れします。

初めから色付きの綿なら染色しなくていいじゃん。と

そうして茶綿を栽培していくと、

太く短く到底繊維にはできないほどの品質でした。

その茶綿を現在の超長綿と呼ばれる高級綿と掛け合わせ、

原初の綿を実用的な最先端の綿へと進化させます。

また、この茶綿は、そもそも無農薬しかなかった時代の植物で、

現代においても、有機栽培向きの綿でした。

そして、茶綿と茶綿を掛け合わせた中に混ざっていた

突然変異の緑綿という種類も生まれます。

研究は進み、黄色や赤や紫のカラードコットンなども作れるようになります。

しかし、無農薬での栽培は茶綿と緑綿しか出来ません。



そんな自然由来の柔らかなカラーを纏ったコットンがこの生地には使われています。

茶と緑と白のコットンをブレンドし、

始まりのチノパン「41カーキ」

カーキなんです。この色こそが。

その41カーキの色を再現しています。


白糸には、オーガニックスーピマコットンを使用。

繊維が長く、シルクに似た光沢を持ち、頑丈である高級綿のスーピマコットン。

オーガニックのスーピマコットンは更に希少です。

そんなアメリカ産のコットンを使用して出来上がった糸と

同じくアメリカ産のカラードコットン糸を使う事で、

染色という1番環境負荷の大きい工程を省くことができます。


また、オーガニックコットンは白綿でもカラーが安定しない事で有名ですが、

カラードコットンも同じく、毎年違う色味で収穫される為、

同じカラーというものは原則存在しません。

そういった、ボジョレー・ヌーボー的な楽しみもありつつの生地です。


素材から製法までサスティナブルに拘りまくった生地を、

今季同型で出ているペインターパンツに使用しております。

デニムやチノとは違う履き心地で、

どうにもシルエットが綺麗です。



また、経年することで劣化とは違う変化を引き起こすらしいです。

デニムの経年変化は、その実、繊維から染料が抜けて起こる現象で、

一般的にも、染めた生地や糸が擦れたり洗濯などを経て退色する事を指します。

ですが、この生地は染めていない。

日々の着用による摩擦や紫外線によって、

ヌメ革のように深い色に変化していくとのこと。

無染色のヌメ革は摩擦熱や紫外線でベージュから茶色に変色していくのですが、

それと似た変化をこのカーキ色はするらしいです。

というのも、原材料に使われているカラードコットンの

茶綿は紫外線に強く、緑綿は紫外線で変色する性質を持っており、

一般の日焼けとは違う変色が起こる稀少な生地です。

私はこれ即買いまして。

以前、デニムを1年かけてリジッドライクな色から

原型ないほどに履き込んだことがあるのですが、

それとは違う楽しみになってます。

ほぼ毎日履いておりますが、退色とは違いますね。

言葉の通り経年ですので、気長に待っています。

ただ、馴染みは早く、

最初はざらざらで味のあった生地も、

滑らかになっております。

レディースでは本格ワーク由来のオーバーオールです。

ワークディテールはしっかり残してますが、

シルエットはもちろんレディースで、

女性らしく着ることができるものになってます。


20世期前半のテイストですので、

カバーオール辺りを合わせてバチバチで着ていただきたいです。

スウェットやパーカーを入れても

品のあるシルエットと色味で、幼稚になりません。

これからの時期でニットやコーデュロイなど

冬素材とも相性の良い雰囲気です。

この後ろ姿で全服好きが注目しますね。

メンズにもほしかった…。

次回があれば期待したい。




世界的にサスティナブルファッションの提案が年々増えていますが、

サスティナブル後進国である日本では中々広まらないのが実情。

でも、一つのものを長く着ることはこの国でも多くの方がしていることかと。

実際に長く着ることのできる服は多くはありません。

コスパ重視だったり、トレンド重視だったりで。

その中で、環境へのダメージも少なく、

トレンドに乗り過ぎて無い上に、経年での楽しみもある。

最強ですね。



オーガニックコットン産業は年々拡大しています。

でもやはり、本当に環境に良い商品かどうかは

わからないことの方が多いです。

ファッションを楽しむことが好きだからこそ、

ファッションを楽しめなくなる時代が来てしまう前に。

メディアなどでもあまり報じられないことではあるので、

このブログを読んだ方が興味を持っていただけたら

明日のファッション業界が変わる一歩になると思います。

まず、オーガニックコットンの場合は含有率です。

知ってしまったが最後、自分の持っているオーガニックが

何%オーガニックか調べたくて仕方なくなりますよね。

私はそうなりました。お気をつけください。