歴史感じるデニムを一つ。

繊維の歴史は年々明らかになっております。

その中でも、意外と知られていないのは

デニムの発祥です。



デニムといえば、アメリカを連想される方が多いと思います。

私も正直アメリカの方がデニムの本場のイメージがあります。

ただ、デニムやジーンズに限らず、多くのファッションのルーツは

ヨーロッパにある事が多いです。

長く世界の中心はユーラシア大陸の西部ヨーロッパとされてきました。

ここ日本も歴史的な表現では極東の地と表記されたり、

アフリカの北部の国々はかつてヨーロッパ各国の植民地とされていたり。

実際には歴史で習った程度で当時のことなんか何も知らないので

あくまで「〜と言われている。」

程度にとってもらえたら嬉しいのですが、

デニムは元々フランスで生まれた素材であるという説が有力です。

フランス産の生地です。これだけは間違い無い。

デニムを国語辞典で引くと

フランス産のサージという意味から

と出てきます。

このフランス産のサージをフランス語で表記すると

「Serge de Nîmes」

フランス語っぽく言うと、

「セルジュドゥニーム」です。

聞き間違えて省略された末、

「デニム」になりそうな言葉ですよね。

このフランス語が世界共通の素材名に変わっていきます。




フランスのニームという街は織物産業が盛んな地域でした。

また、古着好きな方には根深いイメージかと思いますが、

フランス古着といえば、インディゴのイメージありませんか?

インディゴ染めフレンチリネンってめちゃくちゃ人気のフランス古着なイメージがあります。

実際、昔軍物を多く扱う都内の古着屋さんに行った時。

1920年代フレンチリネンの3ボタンジャケットインディゴ約8割残りのもの。

カッケーと手にしたものの値段が11万…。

試着だけしてその日は諦め帰宅、次の給料日向かったのですが

その後すぐに売れてしまったそうです。

とまぁ、価値あるもの作りをするフレンチならではの価格な訳ですが、

そもそも当時の染物が濃色で残る事がありえないのですが、

フランスの職人さんの仕事が丁寧だからこそ成せる術となります。




脱線しましたが、そんなフランスはニームで

17世紀ごろからはあったとされる経糸にインディゴ、緯糸に生成りの先染生地

実はこの生地=セルジュドゥニームでは無いのですが、

この生地を使ったズボンをアメリカやイギリスへの

窓口となっていた貿易都市イタリアのジェノバの船員が

好んで履いていたそうです。

そして、このズボンは

「ジェノイーズ」と呼ばれていました。

訛って聞き間違えてジーンズになりそうな響きですね。

セルジュドゥニームがイタリアに渡り、

ジェノイーズとして履かれるようになり、

更にそれを履いた船員達がアメリカに渡る事で、

デニムとジーンズになっていく訳です。



とはいうものの歴史が明らかにされていない事も多いのですが、

ここまでは有力な説としてのものです。

1600年〜1700年代での出来事なので名言できるほどの材料がないわけです。

どの時期にコットンのセルジュドゥニームが生まれたかは未だ明確になっていないようです。

しかしここまでの歴史を経て、

アメリカ大陸上陸後の歴史はより鮮明になっていきます。

そしてアメリカにて、セルジュドゥニームとジェノイーズを元に大成功した人物がいます。

リーヴァイ・ストラウスです。

重要人物の1人、ヤコブ・デイヴィスという仕立て屋によって生まれた

リーバイス式ウエストオーバーオールのプロトタイプ。

オーバーオールの胸当てのない形としてウエストオーバーオールと呼ばれていました。

ジーンズと呼ばれるようになるのはもう少し先。

1950年くらいと言われています。明言できませんが。

最近の日本ではジーンズやジーパンでは無くデニムと言われているように

呼称の移り変わりは突然には起こらないです。



デイヴィスは1870年代ゴールドラッシュに燃える金鉱での作業に耐えうる

丈夫なズボン・パンツ作るべく試行錯誤していました。

まずは丈夫な生地という事でキャンバス生地(ダック生地かも)を使い

さらに、馬具に使用するようなリベットをポケット隅に打ちつけます。

これが丈夫で長持ちすると大反響。

当時リベットを衣類に使う事は斬新なアイディアでした。

鉱夫達に支持されたリベットズボンは生産が追いつかなくなってしまい、

次第に模倣品も出回り始めます。

特許申請をしようとしたデイヴィスがその高額な出願費用のあてにした人物こそが、

当時まだ、生地を輸入し販売していたリーヴァイ・ストラウスです。



デイヴィスはリーバイス社からキャンバス生地を買っていたこともあり、

また、リーヴァイ自身もリベットズボンに一目置いていた事からこの取引を承諾し、

1873年に当時の「パテント・リベット・クロージング」として特許を取得します。

この時期にリーバイス社に生産部門が立ち上がり、部門監督はヤコブ・デイヴィスが勤めます。

そして1890年に特許期限が終わると同時に他社で模倣品出回るようになる中で、

他社との差別化と最高品質の証である初代リーバイス501XXが生まれます。

当時ベルトループはなく、シンチバックで締めるかサスペンダーで履くのが常識でした。

あくまでオーバーオールの胸当てのない形だったわけです。



この特許期限中にキャンバス生地とデニム生地両方で作っていた

リベット付きウエストオーバーオールは

コットンデニム生地の履き心地の良さと丈夫さがキャンバス生地よりも人気であった事で

501XXはコットンデニムを使用したリベット付きウエストオーバーオールとして誕生しました。




ここまで長かった。

こっから急ぎますが、

書きたい事は、リーバイス社専用生地を製造したコーンミルズ社による生地の質の良さ。

そして1900年代初めのデニム産業が盛んになった中でリーバイス社が行った取り組みについてです。


まずは、リーバイス社は元々アモスケーグ社という一時代を築いた大企業からデニムをおろしてました。

そんな中で、1906年のサンフランシスコ大地震により、本社と生産工場の焼失。

同年に自社工場をバレンシアストリートに建設。

そうです。ボタン裏に工場番号555 バレンシア工場です。

この工場がリーバイス社独自で建設した初めての工場であると言われています。

その10年ほど後にコーンミルズ社の生地を使い始めて、

1922年にアモスケーグ社との契約を切り、生地はコーンミルズ社のみになります。

1927年には501専用10ozセルビッチデニムを製造し、

この生地は当時人気だったLeeの11oz101カウボーイよりも

オンスこそ低いものの、履き心地と丈夫さは劣らないと言われています。

実際はLeeのものは11ozではあるものの防縮加工を施していたため、

1ヤード四方が本来の10〜15%ほど広い分からの数値になるわけなので、

コーンミルズ社のリジット10ozの方が厚さもあったそうです。




そして、1936年にリーバイスはそのブランド価値を高める為に

レッドタブと呼ばれるバックポケット右側に付いている小さいピスタグをつけるようになります。

リーバイスは元々アーキュエイトステッチをブランドの象徴にしていたつもりだったようですが、

このステッチを商標登録しておりませんでした。(1943年に登録はされるのですが、)

また、このアーキュエイトステッチは

このステッチがある理由や訳もわかっていないまま、

他社製品にも施されることもありました。

Leeでも当時はカモメ型のアーキュエイトステッチが施されています。

ジーンズはこのステッチありきのデザインになっていたのかもしれません。

差別化の為、リーバイスを履いていると一目でわかるインディゴに映える

赤いピスタグがつけられたのです。

このピスタグが1938年に商標登録された事で以降、

リーバイ・ストラウス社はこのピスタグに表記されている「Levi's」

が通称として呼ばれてますね。



1938年、事実上ジーンズの原型が生まれた年

より現在の形になっていきます。

1890年に生まれた501XXにはベルトループは無く、

バックポケットも片側だけの4ポケットジーンズでした。

1920年までにベルトループを採用され、5ポケットにもなっております。

まだ、シンチバックは付いていましたが、サスペンダーボタンは廃止され、

1937年から隠しリベットの採用。

とカウボーイ文化に合わせた仕様変更もされ、

デュードランチと呼ばれる牧地バカンスでのファッションとして、

デニムを楽しむ富裕層へのアプローチも行います。

レディース701もこの1935年に作られ始めており、

歴史的に見てもデニムをファッションとして位置づけた

年代がこのあたりであると思われます。


そんな1938年のデニム生地を

形や雰囲気を

Ripo trenta anniとしての解釈とスタイルとして作られたデニムが出来ました。


商品紹介まで長すぎましたが、

ここまで書かないとこのデニムのこだわりは伝わらないと思いまして、

Ripo trenta anniなのにずっとリーバイスの話をしてきましたが、

デニムの歴史を語る上では流石に避けては通れないと思いまして。

ただ、このデニムはヴィンテージのリーバイスにもないデザインを

持っている事は間違いないです。だってこだわっているんです。

誰かが履き込む事で価値を生むデニムですが、

現存する1930年代ものは着用できる状態で残るものが果たしていくつあるでしょう。

またまるっきり同じでは無く、生地のみリプロダクションしております。




諸説あるのですが色々な文献を見る限り、12.5ozも作られていたらしいのですが、

1938年時点では10ozもしくは10.5ozがメジャーであったのかと、

こちらのデニムには10.5ozの生地を使っています。

一般的にはライトオンスに位置しますが、

当時のデニムは今ほどの着心地は無いわけで、あえてのゴワゴワ感と言いますか、

雰囲気は残しており数字以上の生地としての重厚感はたしかに存在しています。




ボタンフライですよ。

みんな大好きですよね。

ジップの方が楽です。それは間違いないのですが、

旧車に乗るような感覚ですかね。一手間が愛おしいような。

脱ぎ履きに関しましては、馴染んだボタンはジップよりも遥かに速くできます。

ボタン周りに経年変化を起こしてくれる味わい深さから手間に変えられない価値は生まれます。


また、リポではヴィンテージディテールを持つデニムには

隠しリベットを施すことがありますが、このデニムにはもちろん使われています。

隠しリベット自体は1960年代にリーバイスさんでも使われなくなった仕様で、

ヴィンテージ好きには年代識別の一つの指標にもなってます。

ちなみに新作のフルートや昨年作られたシガレットなどにも隠しリベットはあるんです。

また一味違ったヴィンテージ感のあるシリーズですが、

お持ちでしたら確認してみてください。

定番にはないこだわりの一つで、リポならではです。

ヴィンテージを再現するならここまでやります。

当時を再現という事で、セルビッチのシンプル白ミミです。


注目ポイントはここなのですが、

あえて糸の太さを不揃いにする事で縦落ちをさせています。

加工で縦落ちさせることもおそらく出来るのでしょうが、

こちらは生地の特性で落ちてますね。

デニム作りが進歩している現在で

この生地作ることに岡山の職人のとてつもない熱量を感じます。

そしてシルエットは

ヴィンテージ以上に緩いです。

これはリポリポしいシルエットです。

丈が短めウエスト大きめなので、下げて履いて欲しいのですが、

優しめにテーパーしており現代的な表情も感じます。



シルバーや白いペンキがチラされており、

ヴィンテージウォッシュにアクセントになってます。

これ実は普通にオシャレなんです。

最近のトレンドでSDGs的観点の一つに染め直しやペイントなどで

既存の服に新しい一面を持たせて長く着ること目的としたリメイク施す。

そういった流行もあるのですが、主張の強すぎないペイントは

ほんとにヴィンテージかと思わせるほどなのに現代的です。

理論的にオシャレである説明をしましたが、そんなの関係なくいいですよね。


2色あるのですが、どっちもいい色落ち加減で、ペイントが映える。

ざっくりとしたデニムの歴史を紹介しまして、

このヴィンテージみの素晴らしさを伝えたかったのですが、

長すぎました。実際まだ足りてはいないのですから奥深いです。


ポケットのステッチやピスタグの位置はRipo trenta anni仕様です。

あくまで生地がヴィンテージ感があるだけで古臭い形ではないと感じました。

私としては、時代背景に逆行するようですが、

サスペンダーで履くとかもありなのかなと感じたりします。


今我々はファッションの一つとしてデニムを履いています。

初めはあくまで労働着で、丈夫な生地と色が落ちていく事が

次第にファッショナブルに見えてきたわけです。

アウトドアブランドを街で着る人や、

スニーカーもといバッシュを普段履く人がいる時代にまでなっていますから

これから先はより斬新な服がファッショナブルに見えてくるのでしょうね。

現在急速に広まるマスクファッションもそれの一つですかね、時代込みですが。

そろそろ着るスマホとか出てくるんじゃないですかね。

アイアンマンみたいな。

個人的にファルコンからはおしゃれを感じます。



ともかく、このセルジュドゥニームかデニムか。

ジェノイーズかジーンズか。

ファッションの移り変わろうとしていた時代がみえてくる

そんなリポ渾身の

ヴィンテージルーズテーパード

です。

びっくりするくらいシンプルな名前です。


このデニムは絶対試着してください。

サイズ感を経験に任せてしまうと違和感を感じられると思います。



フライヤーにはシガーと表記があります。

シガレット・細い紙巻きタバコに対して、

シガーは太い葉巻きです。

既存の表現ではあるのですが、最近混同しているブランドも多く存在します。

このひと昔前のかっこよさの象徴みたいなタバコでシルエット表現する感じ。

なんか憧れますね。非喫煙者ですが。



Ripo trenta anni 有明店でした。

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